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労働相談事例

労働相談事例Index

パートタイム労働者への残業命令

退職金規程のない会社の退職金

労働災害に関する使用者の法律上の責任

年少者の深夜業

休日の振替と代休

労災保険と健康保険の落とし穴

労働保険の加入について

解雇について

家内労働者の労災保険特別加入制度

年少者を使用するとき

失業給付と健康保険の扶養について

配偶者のパート収入と税金・社会保険

交通事故と健康保険

パート・アルバイトでも社会保険に入れる?

パートタイム労働者への残業命令

パートタイム労働者であっても、残業を命じることは可能ですが、残業を命じるためには、正社員と同じように、労働契約や就業規則、労働組合との労働協約などによって残業に関する定めがなされていることが必要です。
(法定労働時間を超える残業の場合には、さらに36協定の締結・届出がなされていることと割増賃金の支払いが必要となります)

なお、パートタイム労働者の場合には、家庭生活上の事情などから短時間勤務を選んでいる場合もあると考えられますので、使用者としては、採用の段階で残業が可能かどうかの確認をするとともに、どのような場合に残業を命じることがあるのか具体的に説明するなど事前に十分な話し合いをしておくべきでしょう。

  • 1.パートタイム労働者に残業を命じる場合の留意点

    パートタイム労働者の残業に関して、国の指針(「事業主が講ずべき短時間労働者の雇用管理の改善等のための措置に関する指針」)では、「事業主は、短時間労働者について、できるだけ所定労働時間を超えて・・・労働させないように努めるものとする」とされています。

    この指針の趣旨を踏まえ、パートタイム労働者についてはそもそも短時間勤務を条件に労使間で労働契約を結んでいることに留意し、できるかぎり残業をさせないよう心がけるべきです。
    やむを得ず残業を命じる場合にも、業務命令として一方的に押しつけるのではなく、労働者の都合や事情等にも十分配慮することが必要でしょう。

  • 2.使用者の残業命令の根拠

    使用者が労働者に残業を命じるためには、残業を命じることもありうることが、労働契約、就業規則、労働組合との労働協約などにより、個々の労働者との労働契約内容となっていることが必要です。
    そうでない場合には、使用者は残業を命じることができないものと解されています。

    なお、「所定労働時間を超える労働の有無」については、労働者を雇い入れるときに書面で明示しなければなりません。
    (労働基準法(以下「労基法」という。)第15条、同法施行規則第5条)

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退職金規程のない会社の退職金

10人未満の会社で就業規則などはなく、退職金は社長のポケットマネーにより、支払われていましたが、最近は不況のため、先日退職した人間には退職金を支払いませんでした。

問題があるでしょうか?

このような場合、該当する規程がないからといって問題がないとは言えません。

なぜなら、今まで退職金を支払っており、その事実を従業員が知っているようであるならば、それが職場の慣行と見られかねないからです。

そうなると、たとえ就業規則などに明確に規定していなくても、立派な職場の規則と判断される場合があります。
そのような事にならないためにも、たとえ10人未満の会社でも、退職金に限らず、職場の規則をしっかりと明確に定めておくことが望ましいでしょう。

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労働災害に関する使用者の法律上の責任

1.法的根拠

  • (1)不法行為責任

    使用者側に、故意、過失が存在することが前提。
    使用者は労働者を安全に働かせる義務を負担するものとされており、労基法その他関係法令において、具体的な災害防止のための使用者義務が定められている。
    労災保険の加入も使用者の義務となるため、未加入中の労災事故は不法行為責任となり、使用者に対して損害賠償を請求できる。

  • (2)使用者責任

    使用者に過失がなくても、仲間の労働者の過失によって労働者が被害を被る場合は、被災労働者は使用者に対して損害賠償を請求できる。

  • (3)工作物責任

    労働災害が使用者の施設の欠陥から生じた場合は、使用者は工作物責任を問われることになる。

2.損害賠償責任と労災保険との関係拠

民法上の損害賠償責任は、労基法に定められた災害補償を行った場合、同一の事由について、その補償額を限度として使用者は責任を免除される。
また、労基法上の災害補償責任は、労災保険法による給付によって免れることになる。

【労災の対象とならない損失】
精神的損害たる慰謝料が該当する。
これについては労災保険では全く給付対象とならいないので、全額について民法上の損害賠償の対象になる。

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年少者の深夜業

年少者の深夜業は原則禁止。(法60条1項)

ただし次の場合は許される。(法61条1項ただし書、法61条3項)

  • 1.交替制によって使用する満16歳以上の男性
  • 2.交替制によって労働させる事業で行政官庁の許可を受けて、午後10時30分まで労働させる場合
「交替制によって労働させる事業」とは、事業全体として交替制をとっている場合を意味し、午後10時30分までの30分しか例外が認められるにすぎない。
しかも「行政官庁の許可」を条件とする厳格な制約が加えられている。
法61条3項の規定は、深夜業が最も問題とされる紡績工場等においても実働8時間休憩45分として深夜業に30分の例外を認めれば、深夜時間をはずして2交替制が成り立つという理由に基づき設けられた。(労働法コンメンタールより)

なお午後10時以後の30分に対しては、法37条の規定により、深夜割増賃金の支払義務が発生する。
「交替制によって使用する」とは、同一労働者が一定期日ごとに、昼間勤務と夜間勤務とを交替につく勤務の態様をいう。(昭23.7,5基発971号)

労働者にとって昼勤と夜勤とが一定期間ごとに交替に行われる場合は、夜勤による体力の消耗を昼勤によって回復することができるので、18歳未満であっても、比較的抵抗力のある16歳以上の男性については、交替制によって深夜業に使用してもよい。(労働法コンメンタールより)
この場合は行政官庁の許可は不要。

「許可」はどちらのパターンに必要か、そして「16歳以上の男性」と限定されているのは法61条1項であるのに対して、3項では男性のみならず女性も深夜業が可能であることもしっかり押さえる。

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休日の振替と代休

『休日の振替』

使用者があらかじめ、休日と定められた日を労働日とし、別の労働日を休日とすることを休日の振替といいます。
この場合、労働日となった日は、休日労働扱いとはなりません。
よって、割増賃金の支払いは不要です。
休日の振替は、以下の要件を満たしたときに認められます。

  • 1.就業規則等に休日の振替ができるとの規定がある。
  • 2.遅くとも振り替えられる休日の前日までに、振り替えにより休日となる日を特定している。
  • 3.労働基準法の4週4日の休日の原則に違反しない。

『代休』

休日労働させた後で、その労働の代償として、通常の労働日を休日とすることを代休といいます。
労働させた日は、休日労働扱いとなります。
よって、割増賃金の支払いが必要です。
代休の場合は、労働させた日が休日労働扱いとなるため、休日労働に関する労使協定の締結・届出が必要です。

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労災保険と健康保険の落とし穴

事業主が仕事中にケガをした場合、
労災保険と健康保険のどちらの保険制度で治療を受けることができるでしょうか?

  • 1.仕事中のケガだから労災保険
  • 2.労災保険は従業員に適用される保険だから健康保険
  • 3.保険は使えない。
と、いろいろな答えが出てくるでしょう。

事業主が仕事中にケガをした場合、原則として保険制度は適用されず、治療費用は全額事業主個人が負担することになります。
なぜこのようなことになってしまうのか?これが労災保険法と健康保険法の落とし穴といえます。

それぞれの保険は次のように規定されています。

【労災保険】
労働者の業務上または通勤時の労災事故ついて所定の給付を行い、保護することを目的とした制度です。
このため、法人の事業主および個人事業主は、原則として被保険者になれないと規定しています。
ただし、一定の要件に該当する事業主は、その事業所の労働者が労災保険に加入していれば、特別加入という方法で労災保険に加入することはできますが、従業員が1人もいなければ、当然特別加入はできません。

【健康保険】
被保険者および被扶養者の業務外の事由によるケガなどに保険給付を行うことを目的としています。
「業務外の事由」と定義されているので、仕事中のケガは保険給付の対象外となります。

よって、事業主の仕事中のけがについては、
どちらの保険も適用されず、治療費用は全額自己負担
ということになってしまうのです。

ただし、

【健康保険】
国民健康保険に加入することになりますので、業務上外に拘わらず給付が受けられることになります。
国民健康保険は業務外の傷病のみに適用するという規定がなく、被保険者(老人保健法の対象者を除く)の疾病、負傷について給付すると規定されているだけになります。

【健康保険】
もし、事業主が、強制適用を無視して健康保険に加入せず、国民健康保険を続けていたならば、仕事中の災害でも無条件で給付が行われていたことになります。
積極的に法律を遵守した事業主は保険が使えず、法律を無視して適用しない事業主は保険が使える、という矛盾が発生します。

【不服申し立て制度】
原則として事業主等の仕事中のケガには、労災保険は適用されません。
しかし、不服申し立てをした結果、健康保険が適用されることがあります。
会社の専務取締役が仕事中に災害にあっても、健康保険が使えるという裁決事例(平成10年8月31日沖縄県社会保険審査会)も出ています。
このようなケースにあった場合には、諦めずに社会保険事務所に相談した方が賢明でしょう。

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労働保険の加入について

労働保険には加入しなければならないか?

まず労災保険の話に入る前に、労働基準法での災害補償について話しましょう。

第75条(療養補償)
労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかつた場合においては、使用者は、その費用で必要な療養を行い、又は必要な療養の費用を負担しなければならない。

第76条(休業補償)
労働者が前条の規定による療養のため、労働することができないために賃金を受けない場合においては、使用者は、労働者の療養中平均賃金の100分の60の休業補償を行わなければならない。

第77条(障害補償)
労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり、治った場合において、その身体に障害が存するときは、使用者は、その障害の程度に応じて、平均賃金に別表第2に定める日数を乗じて得た金額の障害補償を行わなければならない。

第79条(遺族補償)
労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、遺族に対して、平均賃金の1,000日分の遺族補償を行わなければならない。

第80条(葬祭料)
労働者が業務上死亡した場合においては、使用者は、葬祭を行う者に対して、平均賃金の60日分の葬祭料を支払わなければならない。

第84条(他の法律との関係)
この法律に規定する災害補償の事由について、労働者災害補償保険法(昭和22年法律第50号)又は厚生労働省令で指定する法令に基づいてこの法律の災害補償に相当する給付が行なわれるべきものである場合においては、使用者は、補償の責を免れる。
使用者は、この法律による補償を行つた場合においては、同一の事由については、その価額の限度において民法による損害賠償の責を免れる。


以上のように労働基準法は、労働者の業務上の災害に対する補償について、使用者の無過失賠償責任主義による災害補償責任を確立してきました。
しかし今や労災保険法の全面適用により、労働基準法の災害補償は、労災保険にゆだねられるようになったといえるでしょう。

つまり、労災保険は、労働基準法における使用者の災害補償責任を公的保険で担保するものであり、保険に加入することにより、政府の責任で保険給付が行われ労働者の業務災害又は通勤災害についての保護が確保されるわけです。

【労災保険に加入していないとどうなるか?】
労災保険に加入していれば、労働基準法における使用者の災害補償責任を免れる(労基法第84条第1項)わけですから、加入していなければ、使用者は労働基準法の災害補償を行う必要があります。

【災害が発生してから労災保険に加入したらどうか?】
事業主が故意又は重大な過失により労災保険に係る保険関係成立届を提出していない期間中に労働災害が生じ、労災保険給付を行った場合、事業主から遡及して労災保険料を徴収するほかに、その保険給付に要した費用の全部又は一部を徴収することとなっています。(労災法第31条第1項)


「労働基準法の災害補償」と「労災保険法」の関係はおわかりになりましたでしょうか?

では、これより雇用保険も含めた労働保険の加入方法ついてまとめてみましょう。

労働保険とは、労災保険(労働者災害補償保険)と雇用保険(以前の失業保険)とを総称したもので、昭和50年4月1日から農林水産業の一部を除き、労働者を使用するすべての事業所が、法律上当然に適用を受けることになりました。
つまり、工場、事務所、商店など常時一人でも労働者を使用している場合、労働保険に加入することが義務付けられたわけです。(事業主、労働者の希望の有無にかかわらずです)
ですから、当然適用事業所に該当することになった日から、10日以内に必要事項記入の上提出しなければならないのです。

では、労災保険と雇用保険について給付の内容、保険料はどのくらいになるのか、手続きはどうしたら良いのか順を追ってご説明いたします。
まず給付の内容ですが、労災保険では業務災害だけでなく通勤災害まで適用されます。たとえば通勤途中自転車で転倒したとか、駅の階段から滑り落ちたとか、このような場合も当然給付の適用を受けられます。

(1)療養(補償)給付
病院など必要な医療費はもちろん付添え看護料、マッサージ料など必要と認めた治療費用が全額支給されます。

(2)休業(補償)給付
これは、療養のため休業し、給料賃金を受けない期間(日曜・祭日も含む)の第4日目から支給されます。
一日当たり、まず休業(補償)給付として、平均賃金の60%、それに休業特別支給金として平均賃金の20%。従って、合計80%給付されます。

(3)傷病(補償)年金
これは長期の休業の場合ですが、治療開始後1年6ヶ月を経過しても治らず労働不能の場合、休業(補償)給付の代わりに年金を支給する制度です。
この場合の年金は物価スライド制ですからなおさら安心できます。
労災が完全に治癒するまで解雇はできないのです。

(4)障害(補償)給付
後遺症の場合は障害の度合いに応じて1級〜14級までの段階があります。
重い1級〜7級は年金、8級〜14級は一時金を支給します。

(5)遺族補償
不幸にして死亡の場合、遺族補償として年金又は一時金が支給されます。
一時金(扶養遺族がいない場合)の場合、平均賃金の1,000日分プラス特別支給金300万円が支給されます。

(6)葬祭料(葬祭給付)
(5)と同じく死亡の場合ですが、30日分+315,000円又は、60日分が支給されます
一時金(扶養遺族がいない場合)の場合、平均賃金の1,000日分プラス特別支給金300万円が支給されます。


以上のように業務上、通勤上の災害に対し事業主に代わって労働者を救済する制度が労災保険です。


【雇用保険】

次に雇用保険ですが、従来の失業給付だけでなく事業主の雇用に対する雇用助成金も加わり雇用の安定を図っています。
雇用保険三事業と言って、①雇用安定 ②能力開発 ③雇用福祉を目的としています。

それでは次に保険料はどのくらいかかるか計算してみましょう。
社員2名とアルバイト1名を雇っている印刷業の事業所という設定で話を進めます。

Q.各々の給料は月額いくらになりますか?
A.社員Aは300,000円 Bは230,000円 アルバイトは70,000円位になっています。

Q.社員さんのボーナスは年間何ヶ月くらいですか?
A.夏と冬 各々1ヶ月だから年2ヶ月です。

わかりました。
そうしますと業種は、『印刷業』ですから
「労災保険率は1,000分の5 雇用保険率は1,000分の17.5」
になります。

 ● Aさんの年収 300,000円×14ヶ月=4,200,000円
 ● Bさんの年収 230,000円×14ヶ月=3,220,000円
 ● アルバイト   70,000円×12ヶ月=840,000円

まず労災の保険料ですが、3人の年収の合計に保険率1,000分の6を掛けますから

(4,200,000円+3,220,000円+840,000円)×5/1,000=41,300円
41,300円が年間の労災保険料です。
労災保険料は全額事業主負担になります。


次に雇用保険料ですが、こちらはアルバイトは適用外ですから2人の社員さんだけとなります。

(4,200,000円+3,220,000円)×17.5/1,000=129,850円
雇用保険料は17.5/1,000のうち、
10.5/1,000(77,910円)が事業主負担になり
7/1,000(51,940円)が社員負担になります。

労災保険料 41,300円と 雇用保険料 129,850円を足した171,150円が年間の労働保険料となります。
保険料は全額(社員負担分を除く)税務上経費(法定福利費)として処理できます。


それでは、次に加入の手続きを一通り説明します。
労働保険の加入手続きにはまず、提示書類と提出書類とが必要になります。

提示書類は、<法定3帳簿>といいまして
①労働者名簿 ②賃金台帳 ③タイムカード又は出勤簿のことです。
その他④法人登記簿謄本(個人の場合は営業証明) ⑤就業規則 等 及び事業主印が必要となります。

次に提出書類ですが、以下の書類が必要となります。
  • (1)労働保険保険関係成立届
  • (2)雇用保険適用事業所設置届
  • (3)雇用保険被保険者資格取得届

書類に記入の上、労働基準監督署及び職業安定所(ハローワーク)へ行き労働保険が成立します。
さらに、保険関係が成立した日から50日以内に概算保険料申告書と納付書に概算保険料を添えて申告納付してください。
また、保険料が40万円以上の場合には分納ができますが、40万円未満の場合には一括納付となります。

以上で労働保険の成立は完了したわけですが、これですべて終わりというわけではありません。

  • (1)従業員を雇用した時、退職した時
  • (2)労災事故が発生した時
  • (3)事業主、事業所の住所、名称、事業の種類が変わった時

等々、その都度、監督署、安定所(ハローワーク)への届け出をしなければなりません。
また、毎年5月20日までには、労働保険料の概算確定申告をしなければなりません。
以上が加入手続きの方法です。

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解雇について

解雇、クビといっても、いくつかのケースがあります。
まず、使用者からの一方的通知による解雇、それと合意による退職です。
解雇の場合、その中にもいくつかの類型があります。

  • (1)懲戒解雇(諭旨解雇)

    労働者に企業秩序違反等があるときに、懲戒処分として解雇される場合です。
    実際上、解雇予告も予告手当の支払いもなく、直ちに解雇される場合もありますし、退職金の全部又は一部が支払われないことも少なくありません。

  • (2)普通解雇

    労働者に不都合な行為、業務上の不適格などがあるときや不可抗力による事情などにより、雇用関係の継続が困難になった場合になされる解雇です。
    使用者は、労基法20条、21条の解雇予告制度(予告期間、予告手当)を守らなければなりません。

  • (3)整理解雇

    経営困難、企業規模の縮小など使用者の都合で人員整理がされたり、倒産に伴って解雇されるケースです。
    解雇予告制度も適用されます。

  • (4)雇止め

    パートなど期間を定めた雇用契約の期間満了時に、使用者の意思で契約の更新がなされずに、雇用関係を終了させられるケースです。


【解雇とは】
使用者の意思で労働契約を一方的に終了させることを解雇といいます。
労働基準法では、使用者は労働者に少なくとも30日前に解雇を予告しなければならず、即時に解雇する場合は予告手当として30日分以上の平均賃金を支払わなければならないと定めています。

ただし、これは2か月以内の契約で雇われている人(期間を超えて引き続き使用されている場合を除く)、勤めてから14日以内の試用期間中の人、日雇いの人(1か月を超えて継続勤務する人を除く)等には適用されません。

また、天災等やむをえない理由で事業をやめる場合や、労働者の責任による解雇の場合は、労働基準監督署長の解雇予告除外認定を受ければ、予告手当等は必要ありません。
期間の定めのある労働契約の場合は、原則として使用者に期間中の雇用を継続する責任があり、労働者に重大な過失がある場合を除いては、使用者に対し残りの期間に対する債務不履行の損害賠償を請求することもできます。

なお、法律で禁止されている解雇には下記のようなものがあります。

【法律で禁止されている解雇】
  • 国籍、信条又は社会的身分を理由とするもの
  • 事でケガや病気をして療養するために休んでいる期間とその後出勤してから30日間、また女性の産前産後休業の期間とその後出勤してから30日間を過ぎていないもの
  • 労働者が事業所の法違反を労働基準監督署に申告したことを理由とするもの
  • 労働者が組合に加入したり、組合をつくろうとしたり、正当な組合活動をしたことを理由とするもの(不当労働行為)
  • 労働者が労働委員会に不当労働行為救済の申し立てをしたことを理由とするもの
  • 女性労働者の婚姻、妊娠、出産を理由とするもの
  • 労働者が女性少年室(雇用均等室)へ紛争解決の援助を求めたことを理由とするもの
  • 労働者の育児休業、介護休業の申出や取得を理由とするもの
  • 派遣労働者が労働大臣に申告したことを理由とするもの


【解雇には合理的な理由が必要】
解雇されるということは労働者にとって大変重大なことです。
法律で禁止された解雇に当たらず、解雇予告制度を守っていたとしても、直ちに解雇が法的に有効になるとは限りません。

この点は、誤解がされやすいので特に注意が必要です。

すべての解雇には、社会常識からみて、「なるほどもっともだ」と言える「合理的理由」が必要です。
それがなければ、たとえ法令に違反していなくても「解雇権濫用」として法的に無効とされます。
(これは法律に明記されているわけではなく、過去の裁判例の積み重ねの中から一定の基準として認められているものです。)

合理的理由があるか、解雇権の濫用ではないかを判断するに当たっては、下記を判断材料とする。
  • 1.就業規則の解雇に関する定めとその合理性
  • 2.労働者側の責任事由の有無・程度、解雇に至るまでの使用者の態度
  • 3.業務上の必要性
  • 4.他の例との均衡性
  • 5.その他の事情を総合して判断する
例えば、「能力が低い」とか「社風に合わない」といった抽象的な理由、最近の例ではHIV(ヒト免疫不全ウイルス)感染したことは、解雇の合理的な理由にはならないとされています。
まして就業規則の中で最も重い制裁規定である懲戒解雇は、労働者の将来に重大な影響を与えるので、労働者の故意による著しい企業秩序違反などがあったときに最後の手段として行うもので、過失による行為はかなり重大でない限り理由にはなりません。


【解雇時の注意】
退職届は労働者から退職の申し出を行う場合に書くものであり、使用者からの解雇に際して提出する義務はありません。

【無効例】
  • 寝坊により放送事故を起したアナウンサーの普通解雇は、いささか酷にすぎ、合理性を欠いて社会的に相当とは認められないので無効(最高裁第二小法延昭 52・1・31)
  • 難聴のため顧客に不快感を与えることを理由とする百貨店売場従業員の解雇は、正当な理由なくなされたもので無効(横浜地裁小田原支部昭46・6・28)

【有効例】
  • 早出出勤(時間外労働)の開始時刻に遅刻を繰り返すことは、本人が早出に同意した以上、所定内労働時間に遅刻するのと同じで懲戒事由にあたるので有効(名古屋高裁昭51・9・30)
  • 会社を休んで他で作業中、自動車の屋根から転落して大腿骨等を折り、6か月の休職期間を経ても完治せず、医師から原職復帰は無理だとされた者の退職通告は有効(東京地裁昭54・3・27)

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家内労働者の労災保険特別加入制度

家内労働者とは、
通常、自宅を作業場として、メーカーや問屋などの委託者から、部品や原材料の提供を受けて、一人または同居の親族とともに、物品の製造や加工などを行い、その労働に対して工賃を受け取る人をいいます。

業務上の負傷や疾病の発生するおそれの多い特定の作業に従事する家内労働者や補助者については、希望により労災保険に特別加入できることになっています。
特別加入できるのは、年間を通じ常態として次の作業に従事する家内労働者及び補助者です。

  • 1.プレス機械、型付け機、型打ち機、シャー、旋盤、ボール盤又はフライス盤を使用して行う金属、合成樹脂、皮、ゴム、布又は紙の加工の作業
  • 2.研削盤若しくはバフ盤を使用して行う研削若しくは研磨又は溶融した鉛を用いて行う金属の焼入れ若しくは焼きもどしの作業であって、金属製洋食器、刃物、バルブ又はコックの製造又は加工に係るもの
  • 3.有機溶剤又は有機溶剤含有物を用いて行う作業であって、化学物質製、皮製若しくは布製の履物、鞄、袋物、服装用ベルト、グラブ若しくはミット又は木製若しくは合成樹脂製の漆器の製造又は加工に係るもの
  • 4.粉じん作業又は鉛化合物を含有する釉薬を用いて行う施釉若しくは鉛化合物を含有する絵具を用いて行う絵付けの作業若しくは当該施釉若しくは絵付けを行った物の焼成の作業であって陶磁器の製造に係るもの
  • 5.動力により駆動される合糸機、ねん糸機又は織機を使用して行う作業
  • 6.木工機械を使用して行う作業であって、仏壇又は木製若しくは竹製の食器の製造又は加工に係るもの

特別加入の手続は、個人では行えず、家内労働者で組織する団体で行うことになります。
(団体がない場合には、団体を作る必要があります)
その団体が都道府県労働局長に加入申請し、承認を受けることが必要です。

保険料や保険給付額の算定基礎となる額は、家内労働者の希望を聞いて都道府県労働局長が決めることになっています。
保険料は、給付基礎日額に対応する保険料算定基礎額に、作業の種類に応じて定められた保険料率を乗じて計算されます。
保険料の納付義務者は家内労働者で組織する団体です。

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年少者を使用するとき

高校生など18歳未満の年少者をアルバイト等に使用するとき、
次のことを守らなければならない。


  • [労働条件の明示]
    −労働基準法第15条−

    使用者は、労働者の採用に当たって、次に掲げる労働条件の内容について本人に必ず知らせなければならない。
    ①雇用期間
    ②就業の場所
    ③従事させる業務の種類
    ④始業・終業の時間
    ⑤休憩時間
    ⑥休日
    ⑦賃金(賃金の額、計算及び支払の方法、賃金締切日、支払日等)
    賃金については、必ず書面で知らせなければならない。

  • [賃金の支払]
    −労働基準法第24条、最低賃金法第5条−

    賃金は、
    ①毎月1回以上、
    ②一定期日に、
    ③通貨で、
    ④全額を、
    ⑤直接本人に支払わなければならない。
    ただし、本人の同意の上で銀行等に振込みできる。
    また、賃金の額は、都道府県ごとに定められた[最低賃金]の額を下回ってはならない。

  • [労働時間]
    −労働基準法第32条−

    原則として1週間の労働時間は40時間、1日の労働時間は8時間を越えてはならない。

  • [休憩時間]
    −労働基準法第34条−

    労働時間が6時間を越えるときは、途中に45分以上の休憩時間を与えなければならない。

  • [休 日]
    −労働基準法第35条−

    原則として休日は毎週1日与えなければならない。

  • [最低年齢]
    −労働基準法第35条−

    原則として15歳未満の児童を使用することはできない。
    例外として所轄労働基準監督署長の許可を受けた場合に限り13歳以上の児童使用が認められる。

  • [年少者の証明書]
    −労働基準法第57条−

    事業場には、年少者の「年齢証明書」(「住民票記載事項証明書」でよい。)を備え付けなければならない。

  • [年少者の労働契約]
    −労働基準法第58条−

    労働契約は本人が結ばなければならず親や後見人が代わって結んではならない。

  • [変形労働時間制の適用除外、時間外、休日労働の禁止]
    −労働基準法第60条−

    18歳未満の年少者については、第32条の労働時間が厳格に適用されるため、変形労働時間制により労働させること及び時間外労働を行わせることはできない。
    また、休日労働を行わせることもできない。

  • [深夜業の禁止]
    −労働基準法第61条−

    原則として午後10時から翌日午前5時までの深夜時間帯には使用できない。

  • [危険有害業務の就業制限]
    −労働基準法第62条・第63条−

    次のような危険又は有害な業務については、就業が制限又は禁止されている。

     ● 重量物の取扱いの業務
     ● 運転中の機械等の掃除、検査、修理等の業務
     ● ボイラー、クレーン、2トン以上の大型トラック等の運転又は取扱いの業務
     ● 深さが5メートル以上の地穴及び土砂崩壊のおそれのある場所における業務
     ● 高さが5メートル以上で墜落のおそれがある場所における業務
     ● 足場の組立等の業務
     ● 大型丸のこ盤又は大型帯のこ盤に木材を送給する業務
     ● 感電の危険性が高い業務
     ● 有害物又は危険物を取り扱う業務
     ● 著しくじんあい等を飛散し、又は有害のガス、蒸気若しくは粉じん等を飛散する場所。
       又は有害放射線にさらされる場所における業務
     ● 著しく高温若しくは低温な場所又は異常気圧の場所における業務
     ● 酒席に侍する業務
     ● 特殊の遊興的接客業(バー、キャバレー、クラブ等)における業務
     ● 坑内における労働等

  • [雇入れ時の安全衛生教育]
    −労働安全衛生法第59条−

    雇入れの際には仕事に必要な安全衛生教育を行わなければならない。

  • [労働災害補償]
    −労働者災害補償保険法−

    業務上の事由又は通勤による災害については、アルバイト等であっても労災保険による災害補償が行われることになっている。

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失業給付と健康保険の扶養について

年収が130万円未満で、被保険者の年収の2分の1未満であるときは被扶養者となります。
この年収は、今後の収入で見ます。
失業給付の受給期間中については、受給期間中の収入ではなく日額で見ます。
130万円を360日(30日×12カ月)で除して、基本給付日額が3612円(60歳以上は5000円)以上の失業給付を受給すると、被扶養者の認定から外れます。

失業給付の受給手続きをし、認定された後の待機の7日間と自己都合退職による3カ月の給付制限は、他に収入がなければ失業給付も受給していないので夫の扶養になれます。

つまり、給付制限中は扶養になり、失業給付受給期間中は扶養になれず、受給終了後は扶養になれることになります。

扶養から外れている間は、健康保険の任意継続をするか国民健康保険に加入する事になります。
また、国民年金の第3号被保険者(サラリーマンの奥さん等)にも該当しませんので、国民年金の第1号被保険者になる手続きを市町村役場でしなければなりません。
失業給付の収入は、課税されませんので、夫の年末調整の書類には記入しなくてかまいません。
健康保険の場合は収入に含めますが、税務上は含めませんので、他の収入がなければ、103万円未満であれば税務上は夫の扶養に入れることになります。

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配偶者のパート収入と税金・社会保険

100万円
以下
100万円
超〜
103万円
未満
103万円 103万円
超〜
130万円
未満
130万円
以上〜
141万円
未満
141万円
以上
 配偶者控除
 (所得・住民税)
× × ×
 配偶者特別控除
 (所得・住民税)
×


 税金(所得税)
 税金(住民税)
非課税
非課税
非課税
課税
非課税
課税
課税
課税
課税
課税
課税
課税
 (国民)健康保険料
 (自己負担割合)
負担なし
3割
負担なし
3割
負担なし
3割
負担なし
3割
負担あり
3割
負担あり
3割
 年金
 (国民・厚生年金)
第3号
負担なし
第3号
負担なし
第3号
負担なし
第3号
負担なし
第1・2号
負担あり
第1・2号
負担あり
※配偶者特別控除は夫の合計所得が1,000万円以下の場合受けられる。

 ● 住民税              100万円以下は非課税
 ● 所得税              103万円以下は非課税
 ● 社会保険(健康保険・年金) 130万円以上は夫の扶養配偶者になれないため

勤務先が社会保険に加入している場合は妻自身が社会保険に加入し、
加入していない場合は妻自身が国民健康保険及び国民年金に加入する。



※注意
夫の会社(役所)の配偶者手当の支給基準なども確認する必要がある。

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交通事故と健康保険

交通事故による傷害の治療に当っては、健康保険が使えないと思っている人が少なくないようです。

しかし、交通事故の場合でも、健康保険を使って治療することはできます。

健康保険では、健康保険法第1条において「業務外の事由による疾病・負傷を保険給付の対象とする」と規定しています。
交通事故による傷害への給付を除外しているということはなく、交通事故における自賠責保険との優先関係についてもとくに規定はありません。

また、疾病・負傷の治療に当って健康保険を利用するか、あるいは自由診療とするかの選択は、基本的に患者本人によってなされるものとしており、交通事故による負傷だからといって、医療機関の側から健康保険の利用を制限したり、断ったりすることもできないのです。

逆に、医療機関にとっては、加害者が任意保険に加入しておらず損害額が自賠責保険の支払限度額を超えてしまうケースや、被害者にも過失があり損害賠償額の過失相殺が予想されるケースなどでは、債権確保という面からいえば、むしろ健康保険を利用するほうが好ましい場合もあるようです。

とくに被害者にも過失がある事故では、本来は過失相殺で控除される医療費部分を健康保険から支払いを受けることで、被害者が受け取る保険金が多くなります。
その結果、それだけ休業損害や慰謝料にあてられる分が多くなるわけです。

このように、健康保険などの社会保険を利用したほうが、結果として被害者に有利になるというケースがあることも覚えておくとよいでしょう。

交通事故であっても健康保険で治療が受けられるという大阪地裁の判例(昭和60年6月28日判決)がありますが、治療を受けるためには一定の手続きが必要です。

交通事故によるケガなどで健康保険診療を受ける際には、まず病院に被保険者証を提示し、健康保険で治療を受けたいということを申し出ることが必要です。
また同時に、所属の保険者(健康保険組合、市区町村役所、共済組合など)に連絡し、保険者(保険組合など)の指示に従って関係書類を提出する必要があります。

その際の必要書類としては、以下のようなものが一般的です。

  • (1)第三者行為による傷病届
  • (2)事故発生状況報告書
  • (3)念書
  • (4)誓約書(加害者またはその保険会社による)
  • (5)交通事故による負傷届(国民健康保険では第三者の自動車保険関係調書)
  • (6)交通事故証明書(原本または写し)

なお、業務中(通勤途上を含む)と認定される場合の交通事故については、健康保険は使用できません。

【「健康保険は使えない」とよく言われるのはなぜか】

医療機関が自由診療の価格で診察を行いたいというのが大きな理由でしょう。
健康保険を使った保険診療と、自由診療では医療費が異なります。
保険診療は、厚生労働省が定めた診療報酬で医療費が計算され、医療点数の単価は1点10円と決まっています。
これに対して自由診療の単価は、文字通り各医療機関が自由に定めることができます。
交通事故によるケガの治療の場合、自由診療は保険診療の2倍の医療費ともいわれています。
何らかの事情があり被害者であっても、治療費を自分で負担するケースは少なくありません。
このようなときにはできる限り治療費を抑えたいもの。正しい知識をあらかじめ持っていると、治療費を半分にすることもできるのです。
自動車保険(自賠責保険と任意保険)で治療費を清算する場合、保険診療、自由診療どちらを利用しても保険処理はできます。
一定の手続きは必要となりますが、健康保険が使えないということはありません。
病院によっては「交通事故=自動車保険で処理=自由診療」という図式で診療を行うところが多いのが現状です。

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パート・アルバイトでも社会保険に入れる?

社会保険の加入の条件を満たした場合に加入することができます。

1日または1週間の所定労働時間及び1か月の所定労働日数が同じ業務に従事している通常の労働者の4分の3以上ある場合、就労形態、職務内容などを総合的に勘案して常用的な雇用関係にあると判断された場合に入ることができます。

【健康保険・厚生年金保険】
「勤務時間」と「勤務日数」の雇用関係の実態に応じて決められます。

  • (1)1日または1週間の所定労働時間が一般社員のおおむね4分の3以上である時
  • (2)1か月の勤務日数が一般社員の所定労働日数のおおむね4分の3以上である時

【労災保険】
業務上の災害、疾病、事故などの補償をする保険です。
業務上での雇用形態に関わりなく、労働者であれば全ての人が労災保険の適用を受けることができます。

【労災保険】
労働者が失業した場合、生活の安定を図る保険です。
以下の2つの条件を満たせば、パートタイマーも雇用保険に加入することになります。
  • (1)1週間の所定労働時間が20時間以上(短時間労働被保険者)
  • (2)1年以上引き続き雇用される見込みのある場合

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社会保険労務士